午後6時00分
リビングの隣のおじいちゃんの部屋の引き戸が開き入場するおじいちゃん。テレビの前の特等席にポンと腰を下ろす。
「いただきます!」
我が家のお夕飯は6時ぴったり。
横長の長いダイニングテーブルに
それぞれがいつも同じ場所に腰掛けて、お箸立てから並べられた自分のお箸を確認して、お気に入りのお茶碗に温かいご飯が湯気を立てる。
茶色のとっくりに入った熱燗をゆっくりと運ぶのはおばあちゃん。
おじいちゃんはそれが置かれるのを目で追いながら、「ん!」っと短い有難うを言う。
私の席は左におじいちゃん、右に父の接待席。私の向かいにはおばあちゃんとお台所に近い席には母がいる。姉は両端にそれぞれ座っている。
テレビはつけてあって、
名所が映ると必ず
「行ってみたいな〜!」
とおじいちゃん。
「行っけば〜!」
とおばあちゃんや母が合いの手を入れる。
お味噌の湯気が前にふわっと集まる。