端っこだけキッチンに置かれたケーキ
メインのケーキはどこかへ消える
いつも誰かのためにケーキを焼く
母の18番はシフォンケーキ
私の18番はロールケーキ
形は違うけれど生地の配合は同じ
端っこを狙って小さな手が伸びる
「おっきいのは誰の?」
尋ねる息子に自分の子供の頃を重ねる
「これは〇〇さんにお届けするの」
「そっかー!きっと嬉しいーって言うね」
シフォンケーキには端っこがない
ロールケーキには端っこがある
私から子供達への小さなプレゼント
幼い時に一口食べたかったあの思いをのせて
切り落とす端っこケーキ
端っこケーキがキッチンで笑う