人と食

人と食のエピソード。笑って泣いてカリフォルニア。

日系スーパーでの喜び

私にとって日系スーパーはティファニーよりもときめく場所。ショーケースに並ぶダイヤの指輪より、冷凍ケースに並ぶ、3つに連なった納豆の方がスパークジョイ!

そんな憩いの場、日系スーパーではいつも小さな出会いがある。特に、日本食を初めて作る人達との出会いは、私に喜びとやる気を与える。

 

人好き食いしん坊は、

「食材のことなら私に聞いて!」

と書かれた見えないタスキを掛けて入店する。

困っている人がいれば、レシートの裏にレシピを書くこともある。IKEAの説明書の様に絵だけで料理を説明する私の絵レシピもこういう所から生まれた。

今日はそんな日系スーパーでのお話をしたい。

 

 

舞台はサンフランシスコの日本街、ニジヤマーケット。コロナ以前の話である。

その日、店内で何度もすれ違う若いアメリカ人の男性がいた。乾物売り場でも、お肉売り場でも、あまりにすれ違うので、何か困っているのかな〜?と目で追った。

男性は買い物カゴを床に置き、商品を手に取り、携帯と小麦粉を交互ににらめっこ。そして、周りをキョロキョロし出した。

出番だ!

声をかけようと近寄ろうとした時、

タイミングよく店員さんが通り、彼は無事に粉を選びカートに入れた。

「お好み焼きかなー♡」と推測。

頑張って!と見えないエールを送った。

英語表記があるにせよ、外国語の書かれた商品の中から、聴き慣れない、見慣れない食材を買うことは勇気のいること。

日本食作りに挑戦する姿勢にただただ嬉しくなる。

 

私は、一通り買い物を終えレジに行く直前に、あ、ポン酢!と思い出し、調味料のコーナーに戻った。

そこには、また彼がいた。

たくさんのソースを目で一つ一つ確認している。手にはお好み焼きソース。

よし!と思いながら、

私は、ポン酢を取りカートに入れレジへと戻ろうとした…

その瞬間、

彼がお好み焼きソースを棚に戻し、

前にあったボトルのソースを手に取った!!

そして、颯爽とレジへ行ってしまった。

 

赤い?アレは!

まさかの!!

ウスターソース!!!

オーマイがー!!!

しゃっばしゃっばのお好み焼きになっちゃう!

食いしん坊に迷いはない。

彼が最初手に持っていたお好み焼きソースを掴み、追っかける。この美味しいバトンを繋がなくちゃ!一生懸命食材を選んでいたあなたに、しゃばしゃばのお好み焼きは食べさせない!

ちょっと、待って、おにいさーん!!

レジに並ぶお兄さん、不思議そうな顔。

「ソースはこっちよ!!

それだと、しゃばしゃばな(Soggyな)お好み焼きになっちゃうの!!」

 

男性、大笑い!「やっぱりそっちか!迷ったんだけど、野菜の絵に惹かれてこっちにしちゃったよ。有難う!助かったよ!」

お兄さん日本語でありがとうを連発。

 

よかったー

お節介食いしん坊おばさん、全身にみなぎる喜び、これこそ、生きがい!!

こちらこそ有難う。

日本食を作ってくれてありがとう。

Never Eat Soggy Okonomi-yakiよ、お兄さん!

 

 

今はコロナ禍、人に近づいたり、知らない人に話しかけたり出来ない。だから、せめて、店員さんに間違われる様にキビキビとイキイキと買い物をしている。

誰が声を掛けてきても、

私はいつだってReadyです!