人と食

人と食のエピソード。笑って泣いてカリフォルニア。

風に吹かれる一本の木

「今日、僕、お昼いらない。」

長男がいきなり言い出した。

え?大丈夫?具合悪いの?

「暗くなったら食べるよ!」

 

友達の家がラマダン中なので僕もするという長男。リスペクトする事は素晴らしいけれど、何とかチャレンジ!みたいに挑戦するものではないよ、きちんと意味があるんだよと話すと納得していた。

これもカリフォルニア子育てあるあるだなぁと感じる。

 

風が吹き木々が揺れる様に、自然に多様性を感じ受け流す。

人種、宗教、文化、みんな異なる木々であっても、あたる風は平等で、

春に花を咲かせる木もあれば、

冬は裸ん坊になる木もあって、

花を咲かさず実もつけず、ずっと葉を揺らす木もある。

そんな事を思いながら、

息子と一緒に通学路を歩いた。

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長男が小学校に上がる前に、

「うちの娘は男の子になります」

というお手紙を学校を通じて受け取ったことがあった。

両親の深い愛情を感じる素晴らしいお手紙だった。

息子にその子の事を伝えると、

「前から知ってるよ!ずっと男の子だよ!」

とあっさり。

拍子抜けするぐらいの反応だった。

 

 

 

1年生になると、日本語の算数の文章問題にこの様な問いがあった。

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「こどもが8人います。男の子は5人です。

女の子は何人いますか。」

解き方の説明をしても腑に落ちない顔をしている息子。

間違えた事に対する言い訳かもしれないが、

その時長男が言った間違えた理由は、今でも忘れられない。

「ママ、男の子か女の子かはその人に聞いてみなさいって言うでしょ、勝手に決めちゃダメだって。」

背筋が伸びた。

算数の問題にそこまで深くは考えていなかった。

そう、残りの子がみんな女の子だと決めつけてはいけない。性別を持たない子だっている。

本当にその通り!

子供に教えられることの方が、私が教えることよりも遥かに多い。

 

 

ここでの暮らしは良いことばかりではないけれど、一本の木を育てる環境としては恵まれている。

毎日木に水をあげる必要はない。

置かれた場所で木は上手に育つ。