切り花は時間と共に元気がなくなってくるので、短く切って生け直す。
その度に花器を変えるのも楽しみの一つ。
3回目の生け直し作。
アアルトベース→古いピッチャー→そしてこちらの花器は鉄製のSpittoon
アンティークの痰壷である。
縁が広がり、中は白の琺瑯なのでパッと花が映える。そして、元気をなくしてもう直立出来ないお花も大きな縁に寄りかかり、互いに寄り添いながら過ごせる。
ここでまた枯れてしまったら、残ったお花を窓際のジャムの瓶に生け直して陽の光に当てようと思う。
こうやって何度もお引っ越しをしながらお花を愛でる。
アンティークの痰壷を花器に見立てて楽しむ。
痰壷という言葉だけで喜ぶ小学生男子と大将も嬉しそうだ。
こういう見立てて楽しむ文化は日本らしいとアンティークショップのオーナーがいつも言う。
子供達が赤ちゃんの頃、バターケースに綿棒を入れていたとオーナーに教えたら、その話を今もお店でしていると教えてくれた。
お料理もそうだけど、我々日本人が意識している以上に、海外で日本人の美的感覚は評価されていると思う。
ただ、私がこの痰壷をお店で見つけた時、大事そうに抱えて歩いていたら、
「それ、何か知ってる?」
と笑って駆け寄って来たおじさんのおかげで、
私はこれが花器ではなく痰壷だと知ったのだが🤣
「Spittoon」初めて聞いた単語に、おじさんの唾を吐こうとするジェスチャー付き。
思わず、痰壷を床に下ろしてしまった。
お花を生けると言ったら、「花がいつもより良く育つかもよ〜」なんて冗談を言うアメリカ人はとてもチャーミングだと思う。