今週のお題「復活してほしいもの」
4名様でーす、だだーん!
銅鑼を鳴らされ入店するお店なんて他にはなかった。
下北沢のエスニックレストラン、タイ市場食堂タラートを知っている人はどのぐらいいるのだろう。
入り口に綿あめ器があって、地下なのに吹き抜けの店内は、狭いのにものすごい解放感があった。
私の箸が転んでもおかしい高校生活は下北沢産。
土曜日は高校が半日なので、お昼は下北の街に繰り出しエスニック料理とカフェというものを学んだ。放課後の寄り道が基本禁止されていたので、先生が絶対にランチに来ない雰囲気のタラートは好条件!
もう20年以上前の記憶を手繰り寄せて書いているが、ランチは1品メインを頼むとサイドの食べ放題が付いてくるものだったと記憶する。食べ放題なのに価格は驚くほど安かった。デザートには自分で作れるソフトクリームのマシーンが置いてあって、照明が暗いせいか手元が影になりあまり見えなかった記憶がある。
お料理は不思議なものが沢山あった。
私の「エスニック料理」との出会いはまさにこの店、タラートが始まりだった。
タラートは一歩足を踏み入れると、訪れたことのないどこかのアジアの屋台の香りがした。席の間隔が狭いので、変わった大人たちともたくさんここで話をした。メキシコ料理やベトナム料理、シャンソンやジャズ、演劇やお笑い、小説に古着、このお店で出会った人たちから新しいジャンルのカルチャーを教えてもらった。それはとても新鮮で、どれも深くハマることはなかったけれど、その後、歩んだ進路の端々でその教養はキラっと活きる瞬間があった。
タラートは10年ほど前に閉店した。日本に一時帰国をした時にフラッと立ち寄ったら、見慣れない看板がかかっていた。とても残念で、何だか寂しかった。
もし、タラートが復活する事があったら、変わった大人として積極的に若者に絡みたい!