おじいちゃんは子供を猫可愛がりしない。
子供も大人も同等。
同じ感じでぶつかってくる。
時に子供の心に響かない言葉を投げかけてくる。
私がご機嫌斜めな時は
「和子ーかずのこーニシンの子!
ま、ニシンの子だから気にするな!」
と毎度呪文のように言う。
おじいちゃんの部屋で一緒に水戸黄門を観ていると、
「和子は絶世の美女ではない。
愛嬌でいけ!」
と言われ、チョコレートをくれる。
おじいちゃんの言葉は
いつも言葉が短く、はっきりとしていてリズムが良い。
まだ物心つく前から、
大好きなおじいちゃんに
ニシンの子!美女ではない!
と言われて育った私は何故だか
その言葉に救われている。
「そうだった私はニシンの子だった!何をつまらない事に悩んでいるんだ、昆布巻きにされるところだった!美女の枠からは外れているんだった!私は愛嬌振りまいてしっぽ振って生きいこう!」
事あるごとに励まされ、
笑顔になれる。
子供の時には何も響かなかった言葉も時間をかけて意味を持つようになる。
言葉には人を抱きしめるのと
同じぐらいの力がある。
パワーがある。