和子12歳
私は台所で
カレーを無心で混ぜる。
カレーの渦に吸い込まれそうだ。
家の前に車の止まった音がした。
急いで玄関のドアを開けると
おじいちゃんが可愛がっていた庭のガマガエルが前足をパッと出し、家へ入ろうとした。
おじいちゃんだ!
そう姉が声を出した。
帰って来た!
外を覗くと、
母がおじいちゃんと肩を組んでそこにいた。
帰って来たいって言うから連れて帰って来たよ。母はそう言って玄関におじいちゃんを座らせた。
お化けかと思った。
さっき家族を集めてくださいと言われたおじいちゃんがここにいる。
カレーのいい香りがフワーとして、
突然お腹が空いた。