ARABIA / Anemone
北欧のヴィンテージ食器が好きなら一度は耳にしたことがあるであろう、アラビアのアネモネ。フィンランドのアラビア社のアネモネの花が描かれた器である。年代は1960年代〜70年代と80年代に復刻されたものがある。よって、比較的新しい物でも40年以上前のものになる。
アメリカでは、ヴィンテージとは大体30年以上経ったものをいう。アンティークは100年以上と言われるが明確な決まりはない。
バーバリーのマフラーが大流行した90年代に、豹柄のマフラーを首に巻きつけ"ワタシはミンナと違うの!"を主張した曲がった子が、大人になって、"簡単には手に入らない"ヴィンテージ食器にハマるのにはそう時間なんてかからなかった。
アメリカンヴィンテージから始まった私の皿ジャーニーは、ヨーロッパや北欧、そして、今や果てしない歴史を持つ中国まで続いている。
そんな一つの国に落ち着かない、あれもこれも食べたい食いしん坊な私が、唯一毎年買い足しているものが、アラビアのアネモネである。
なぜアメリカで北欧食器?と思われるかもしれないが、アネモネを含むこの「Sモデル」シリーズは、デザインはもちろん、機能性にも優れ、当時のアメリカ人の心を掴んだようで今でも比較的多くアメリカに残っている北欧のヴィンテージ食器である。
当時、新婚でアネモネを揃えたというアンティークショップのおば様は、「オーブンも食洗機もOKでこんな素敵な食器って他にあるかしら!」と感激したアネモネとの出会いを懐かしく話してくれた。
機能性に優れたデザイン
縁に高さがあるので汁気のあるものでもしっかりと包み込んでくれる。
平皿なのに子供も大人も食べやすい。
オーブンだってへっちゃらで、
いつものケーキがめかし込む。
アネモネに「重さ」以外の短所はない。
アネモネの魅力を一言で伝えるならば、
みんな違ってみんな良い。
アネモネはアラビア社の絵付け師さんによって一枚一枚手書きで描かれている。外枠の線も手書き。色の濃淡や花の位置など個性が溢れている。二つとして同じものがないだけではなく、それぞれの違った表情が人を飽きさせることを知らない。
初期のアネモネには絵付け師さんのイニシャルが書かれている。こちらは私の初恋のKOさん。
お仲間
↑アネモネと同じ絵柄で色違いの
(上)ロスマリン
(下)アネモネ
↓
そして、柄違い色違いのルイヤ↓
とお仲間がいるが、それぞれいくつか迎え入れても、結局アネモネばかり手に取り食卓に出てしまう。
青い色が綺麗だからだろうか?と恋の理由を探すと、小さな答えが見つかった。
ベースの色が藁半紙の色!
昭和生まれならきっと分かるであろう、あの白ではない紙の色、藁半紙の色!先生からのお便りや小テストなどは藁半紙だったあの頃。ひっくり返して藁半紙の裏にいつも絵を描いていた子供時代。藁半紙は無料のキャンパスだった。
アネモネに恋したには理由があった。惹かれるのはあの頃の自由なこころと気ままなお絵描きを思い出すからだろう。
料理の盛り付けはお絵描き。
食べたらなくなる儚いお絵描き。
そうか、あのプリント裏のお絵描きの延長だったのか!
そう分かると、アネモネについてまだまだ書きたいことがあるけれどこのぐらいにしておこうと思う。
こちらが恋の理由にあまりに相応しいので多くを語らず、言わぬが花。
あく取りだって恋してる。