アズキテラピー。
小豆の香りほど私を癒すものはない。
小正月、朝にお汁粉を頂きました。
今日でお正月もおしまい。祖母のサラサラのお汁粉は私に受け継がれ、祖母のひ孫が美味しい美味しいと食べている。
お汁粉を食べながら、息子たちに祖母の話をする。小豆が入ったザルをお台所で目撃し、明日はお汁粉だ!と胸が高鳴ったあの時の話を。
「おばあちゃん、お汁粉〜!」と学校から帰って来た私がランドセルを背負ったまま、お台所へ行くと、
両手をパーに開いて「あっるよー!」と言うおばあちゃん。大きな金色のお鍋の蓋を開けてくれると、うっとりとする香りの湯気が立つ。
お餅が焼ける時間が待てない!早く食べたい!
食べている時に向かいに座ってじっとこちらを見つめているおばあちゃんの姿がある。
愛しい眼差しを思い出すとお汁粉がしょっぱくなってしまう。
祖母は、お料理はあまり得意ではないから母のお手伝いをするぐらいが心地良いと言っていた。それでもいくつか祖母だけが作るお料理があって、お汁粉はその一つだった。
サラサラのお椀の底が見えるぐらいに澄んだお汁粉は最後の一滴まで美味しかった。
今、同じように作ってみると、涙が出てしまうことが分かってしまった。
祖母のお汁粉はきっと、私が学校へ行っている午前中に作り終えていたのだと思う。作りながら、何度も味見をしてみるとそれが分かる。出来立てほやほやではない少し蒸らした味だった。でも、祖母のお汁粉は、私が帰って来た時に蓋を開けると、美味しい湯気が立った…
そう、
学校から帰ってくる時間を見計らって温め直してくれていたのだ。
やだなぁもう。20年以上経って、祖母の優しさに気がつき涙を流す。深い愛情を感じる。
主人がリビングの壁の色を塗り直していた。「剥がれた所から、この色の前はこの部屋は薄い緑色だった事が分かったよ」
私が塗り変えたいと思っていた色は、実は今の色の下に隠れていたのか、面白い。
愛情は色がないから気が付きにくい。
でも、ふとした瞬間にこうして色付き蘇る事があるのだと、今日はそれを知ることができた。