春に桜を咲かすことが出来ず、
着る予定のなかった制服を着ているあなたへ、どうか届いて欲しい。
朝は重く
風に色はなく
空はいつも怒っている。
駅に向かう自転車の列に連なって
今日という日を漕ぎ始める。
横切る眩しい制服を睨み、ハンドルを握りしめて懸命に足を動かす。
休み時間に、鏡に映る自分の姿に失望し、自分で自分を塗りつぶす。
友達の声に耳を傾けるふりをして、自分はここにいるはずではなかったと100万回思ってきたことでしょう。
もう夏です
春は終わりました。
この夏はあなたにとって特別なものになります。悔しい思いが夏を過ごすエネルギーへと変わります。
知らない場所へ行って、まだ見たことのない物を見る。
狂うようにバイトをして、汗をかいて、だるい足を引きずりながらまた同じ朝を迎える。
高いお金を出して、まずいものを食べるのも良いでしょう。
言葉の通じないところへ飛び込んで、ボコボコに打ちのめされて、とんでもない夏を過ごすのも名案です。
動くのです。
この夏に動き出すのです。
あなたは誰よりもエネルギーを持っている。悔しさのエネルギーを持っている。それはとても大きな力です。何処へだっていけます。
自分で自分を塗りつぶして黒く丸くなって過ごす時間は終わりました。
春は終わりました、
もう夏です。
私は知っています、あなたは秋に咲くコスモスですよ。