人と食

人と食のエピソード。笑って泣いてカリフォルニア。

お魚の日

お肉の日とお魚の日は交互にやってくる。

お魚の日、

おじいちゃんの部屋で大相撲中継

観ていると焼き魚の香りがして、

今日はお魚の日だなと鼻が言う。


落ち着きのない私はおじいちゃんの部屋とお台所を行ったり来たり、

千代の富士が勝ちそうだよ。今日の千代の富士はお顔が違うって!」と中継を繋ぐ。


焼き網の上も満員御礼。

グリルの前の丸椅子に座っておばあちゃんがお魚の番をする。

「和ちゃんはお相撲が好きね。」

おばあちゃんが言い終わる前に、走っておじいちゃんの部屋に戻って

ここ一番を観戦する。


お相撲が終わればお夕飯の時間。

魚皿が7枚調理台の上に置かれている。

その調理台に両手をついて足をぴょんぴょん跳ねさせて、千代の富士勝ったよ!と報告をする。


お魚(食卓に)運んでくれる?

と母が私に言う。

母が指で一皿一皿名前をつける。


身がパンとしていて立派な焼き色がついたお魚を指差し、おじいちゃんの。

次に、これはパパのと母が帰宅が遅くなる父のお皿をよける。

おばあちゃんの、子供たちの…と順に名付け、これはママのところに置いてねと最後の一皿を手渡す。

その一皿は尻尾が切れていたり、

不格好なものばかり。

 

私がそのことに気がつくのはずいぶん大きくなってからで、小さいうちは言われるがままにお給仕さんを楽しんでいた。


食卓に並んだ魚皿をおばあちゃんがちらっと覗き、サッと母のものと自分のものを取り替えっこして、私にニコっとする。


これが我が家のお魚の日。