数年前、家探しをする時に私はごねた。
住宅ローンを抱える人生よりも
借家でいつでも旅行に行きたいと主張した。
北カリフォルニアで家を持つということは新しい家であることよりも古い家であることが多く、修繕修繕で時間もお金も大変だと友人達から聞いていた。
だが、主人は持ち家派。
渋々家探しを始めたが、気に入った家に入札しても現金一括購入者が現れると負けてしまう。
ある日、主人の職場の同僚達が私たちのアパートへ食事に来た。
家の話になり、
1人が、エアコンが壊れてしまったから総取っ替えする、それを直したらまた家を売ってもっと広い家を買うんだ!と言っていた。
私は驚いた。
家に対しての考え方が違う。
私が、家よりも旅行がしたい!と言うと誰もが笑った。
それとこれは話しが別だよ!と。
じゃあ、お金を貯めてローンをほとんど組まなくていいようになってから…と言うとそれも笑い飛ばされた。
ないお金で自分の家に住めて、子供が小さい時から楽しい思い出を作れるローンは素晴らしいよ。
アパート気に入ってても払っているお金はなんのお金?
家は生活に合わせて買ったり売ったり楽しむんだ。
家族のハッピーが自分の家に染み込むよ、そして素敵な家になる。
そもそも旅行に行って帰ってくる家がハッピーじゃなかったら人生は楽しくない!
口々に飛んできた言葉が胸に刺さった。
住宅ローンは楽しい時間にお金を払っている。利子はハッピー代。
みんながみんな全力でハッピーを主張!Home、Family、Happy!
私以外の人たちの価値観に衝撃を受け、早く住宅ローンを組みたい!と意気込む程私の気持ちは変わってしまった。すっかりアメリカンマジックにかかってしまった。
熱い気持ちのまま家探しをすると、これだ!という家に出会い、とんとん拍子にハッピー代を払い始めた。
もちろんここ数年は修繕修繕であたふたしているが後悔はない。主人は床やトイレも直してしまうほど大工仕事の腕を上げ、庭でとびきり美味しいお肉を焼いてくれる。
そんな時幸せを感じる。
庭の古いスプリンクラーから水が吹き上がり、青い空の下で豪快に水を浴びた今朝。
また大きなハッピー代を払う予感を全身に感じながら、これを笑い話にしてしまおうと思った。