人と食

人と食のエピソード。笑って泣いてカリフォルニア。

母の玉ねぎ

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冷凍庫にみじん切りの玉ねぎが一袋

ある。

 


次男出産後、

両親が日本から応援に来てくれた。

 

 

「忙しい時に使いなさいね。」

と母がみじん切りにした玉ねぎを冷凍してくれた。

 

両親が帰り、おむつをした二人の息子との生活は想像以上に大変だった。

主人も私もその時どうやって一日を過ごしていたのか記憶がない。

必死。

日日にしがみついて時を過ごした。


今日こそ母の玉ねぎを使おう!

何度か冷凍庫を開けたけれど、

 


いや、まだまだ!

忙しいなんてまだ言えない!

きっともっと忙しい日が来る

その時に使おう。

そうパタパタと冷凍庫と言い合った。

 

 

まだまだ

まだまだ

 

 

 

なんだか母に試されている様な、

見守られている様な気がした。

 

 

 

6年経った。

一緒に引っ越しもした。

 

 

母の玉ねぎは、

今ではすっかり冷凍庫の主になっている。

 

 

娘は意地を張って、

忙しい日はこなかったと言うけれど、玉ねぎは全部知っている。