冷凍庫にみじん切りの玉ねぎが一袋
ある。
次男出産後、
両親が日本から応援に来てくれた。
「忙しい時に使いなさいね。」
と母がみじん切りにした玉ねぎを冷凍してくれた。
両親が帰り、おむつをした二人の息子との生活は想像以上に大変だった。
主人も私もその時どうやって一日を過ごしていたのか記憶がない。
必死。
日日にしがみついて時を過ごした。
今日こそ母の玉ねぎを使おう!
何度か冷凍庫を開けたけれど、
いや、まだまだ!
忙しいなんてまだ言えない!
きっともっと忙しい日が来る
その時に使おう。
そうパタパタと冷凍庫と言い合った。
まだまだ
まだまだ
なんだか母に試されている様な、
見守られている様な気がした。
6年経った。
一緒に引っ越しもした。
母の玉ねぎは、
今ではすっかり冷凍庫の主になっている。
娘は意地を張って、
忙しい日はこなかったと言うけれど、玉ねぎは全部知っている。