数年前の記念日に珍しく主人にピアスをねだった。
「ブルーの箱の素敵なお店でピアスを見ても似合いそうな物がなかった。台所用品のお店に入った瞬間に、ピッタリだ!という物が見つかった!」と言われ貰ったものは紺色の鉄鍋だった。
箱の中の鍋を抱えると「やっぱり似合うよ!」
と言われた。
私は鍋の似合う女。
主人と私。
食いしん坊なところと人好きなところ以外共通点は見当たらない。
歌の上手い主人と音痴な私。
たまに妻から、私を癒せとギターを渡され歌を歌う主人。
私は鍋の調べを聞かせる。
音楽と料理が結婚した。
ありったけのお野菜とお肉の骨を鍋に入れ
少しのお塩で煮て
お水やチキンコンソメを足して
ここここ
ぐつぐつぐつ
私は音痴だけれど鍋を鳴らすのは得意だ。
私のいつものスープは見た目が地味で、
湯むきをされなかったトマトの皮が浮いている。気にしないで、それはトマトのパンツよ。
ガサツなところもひっくるめて味わって。
今日も演奏します。
鍋の調べを聞いてください。
今年の記念日も鍋を貰いました。