まだ東京で実家暮らしをしていた頃、私はお料理教室に勤めていた。
「天津飯」の授業を担当した日、自分も食べたくなり、家に帰ってから作る事にした。蟹は蒲鉾で代用しようかなと思いながらも、なんとなく缶詰めを確認すると、蟹缶を発見した!いいものみっけ!豪快に一缶使って天津飯を作り甘酢餡掛けをかけると、ちょうど良く出かけていた両親が帰って来た。
「天津飯作ったよ!」と言うと、2人の顔色が変わった。「蟹の?」「うん。」「どの缶詰で?」「これ!」母があちゃーと言う顔をしていて、後ろで父がおでこに手を当てている。
その蟹缶は頂き物の高級品で、蟹好きの父が三杯酢で食べるのを心から楽しみにしていたものだった。
通りで…缶詰の中に厚い紙が敷かれていて、
蟹の身がお行儀良く並んでいた訳だ。
それを見事に細かくほぐし、卵に混ぜて焼き、ご飯の上に乗せて、甘酢餡掛けをたっぷりかけた天津飯は蟹の風味が残念な程いかされていなかった。
その日は両親と3人、静かに、蟹に集中しながら天津飯を食べた。
この一件は、天津飯事件として私の苦い思い出となった。
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サンフランシスコではダンジネスクラブという蟹が有名。シーズンは11月頃〜6月頃と長く、茹でたものがスーパーでも売られている。
ダンジネスクラブ
器:Heath ceramics
先日、蟹好きの主人が仕事帰りにCostcoで時期外れの茹で蟹を買ってきた。
えー?ご飯作っちゃったよ…と言いかけたが、好物を手にした主人は完全に蟹に興奮している。
「あれ、作って!」
と言うので身をほぐす作業を手伝ってもらう。
あれ、の完成!
お水に、蟹味噌と胴体の部分の身を加え、ほんだし少々とお味噌、青ネギを加えた蟹のお味噌汁。
これが大好きな主人。満足そうに食べる。
足の身はシンプルにポン酢で。
我が家では蟹を食べる時、ほぐした身を少しと、細くて食べにくい足先を取っておき数日楽しむ。いろいろ試してみたい蟹のお料理が心にあるので、正直、蟹のサプライズは嬉しい!
翌日のお昼
蟹の冷やし中華
思いつきの冷やし中華はエッグヌードルの乾麺を使用。タレはお酢、お醤油、お水同量にお砂糖とごま油を足した簡単なもの。
蟹の味がしっかり楽しめる一品に。
そして、お夕飯は
何ちゃってチョッピーノ!
トマトの海鮮スープ
器:Royal Copenhagen
蟹の足先と薄切りエシャロット、みじん切りパプリカ、ガーリックをオリーブオイルで炒めて香りが立ったら、シーフードミックス、じゃがいも、トマト缶、チキンストックを加えて煮込む。
お塩で味をつけて出来上がり!
たった10本の足先が美味しいスープになるお得感がたまらない。
おかわりはレモンを絞って味を変えて。
器:Heath ceramics
そして今日、このスープの残りが冷凍庫にまだ少しある。
パスタにするかチキンを加えてパエリア にするかで、右手と左手でジャンケンをする予定!