毎回この辺りで逃げ出したくなる白餡作り。
水分が蒸発し重くなる餡、焦げてしまう為止められない手。
何で私はこんなことをしているのだろうと一瞬我に返る。
「辞める勇気」さえ湧いてくる。
不思議だ、毎回この瞬間に到達するまでこの瞬間の苦しみを思い出せない。必ず逃げ出したくなるのにその部分だけメモリーから抜けてしまう。
過去を忘れ、未来の旨みに一心不乱。
食いしん坊は前向きだ。
今年の節分、うっかり日系スーパーで煎り大豆を買うのを忘れてしまい、地元のスーパーで見つけた1袋1ドルの見切り品のライ豆(Lima beans)を撒くことにした。
鬼役の主人は「過去最高の痛さ」だと主張していたが豆が大きいのだから仕方がない。
節分の翌日、部屋と外に撒かれたライ豆を見つめ私は悩んだ。もったいないな…
「豆!回収!」
隅々から豆を集め煮立て、白餡を炊いた。
味はなかなかいける。
どら焼きにしたら最高すぎた。
アメリカで白餡入りのどら焼きが食べられる嬉しさといったらもう!そりゃ、ピースも入っちゃう。
しかも、豆は1袋1ドルで蒔いた後の再利用!
今日もやっぱりあの瞬間を忘れて見切り品のライ豆で白餡を炊いてしまった。
白餡を炊きながら、
と
自分を追い込むのは得意だ。